広島県コンクリートメンテナンス協会(徳納武使会長)の主催による『コンクリート構造物の補修・補強に関するフォーラム』が16日、広島市南区比治山本町の南区民文化センターで開かれた。フォーラムには官庁やコンサル担当者らを中心に当初予定を大きく上回る約300人が出席し、コンクリートの補修・補強の基礎知識や対策工法などに関する最新技術を学んだ。
毎年この時期に開催される広島フォーラムは、今年で4回目を数える。リピーターも多いため出席者は回を重ねるごとに増えており、現在では中国5県のみならず東京・大阪や九州・四国・東北など全国各地で開催され、知名度を高めている。
冒頭で徳納会長は「広島県は全国でも特に塩害やASRによる劣化が多い地域であるが、その広島で当協会が対策に取り組んで15年、亜硝酸リチウムを使用する技術は土木学会や材料学会、コンクリート工学会などを通じて全国的にも注目される技術に発展した。本日のフォーラムでは、最先端の補修技術をご披露させていただく。皆さんの業務のお役に立てれば幸い」と挨拶した。
講演はは第1部と2部に分けて行われ、1部では極東興和の江良和徳工学博士が「コンクリート構造物の調査・診断・補修設計から補修工事・追跡調査まで」をテーマに、過去の診断事例を踏まえながら塩害・中性化・ASRのそれぞれの劣化メカニズムやそれぞれの補修工法選定の考え方を解説。また、塩害・ASRの有効な対策技術となる亜硝酸リチウムを用いた補修技術等について詳しく紹介し、適切な評価・診断と補修工法等の選定、さらに適切な施工と維持管理を行い、構造物の長寿命化を図ることの重要性を説いた。
また、第2部では日本ペイント販売の中丸大輔氏が講師を務め、「コンクリート剥落防止と塗膜型剥落防止システムについて」のテーマのもと、塗るだけでコンクリート片の剥落を防止できる「割れない塗膜」タフガードQ-R工法の紹介を行った。
なお、この日紹介された技術は、いずれもNETIS(国交省新技術情報提供システム)にも登録されている。