(一社)コンクリートメンテナンス協会(徳納剛会長)は7日と8日の2日間にわたり、「コンクリート構造物の補修・補強に関するフォーラム2017」=写真=を福岡市博多区の福岡国際会議場で開催した。土木学会認定CPDプログラムで、テーマは「構造物の健康寿命を延ばすためのシナリオ」。
7日のフォーラムには官公庁や施工者、コンサルタントなどから約420人が参加し、コンクリート構造物の健康寿命を延ばす方策や補修設計、最新の技術などについて理解解を深めた。
あいさつに立った徳納会長は「国内のコンクリート構造物は確実に老朽化、劣化が進行しており、このままだと要求性能を満たせなくなる。この危機を防ぐには、構造物が適切な性能を維持しうる期間である健康寿命を延ばすしかない。将来、どのように維持管理していくのかというシナリオを基に、点検、調査、診断、補修、補強の様々な技術を駆使して維持管理に取り組んでいく必要がある」と述べた。
国土交通省九州地方整備局企画部の楠本敦技術調整管理官は「国土交通行政に係わる最近の動向」と題し、担い手確保や建設現場の生産性革命、道路メンテナンスについて講演した。
楠本管理官は、担い手確保に関して賃金、社会保険加入、休日確保への取組みについて説明し、「担い手不足の厳しい状況を変えることは簡単ではないが、少しでも魅力ある職場に変えていくには、国や県、市町村とともに施工業者、専門工事業者などの取組みが必要である。働き方改革を今から変えていかないといけない」と協力を求めた。
同協会顧問で近未来コンクリート研究会の十河茂幸代表は、健康寿命を延ばす方策として、構造物に損傷が出る前に手立てすることが重要であると予防保全の重要性を指摘。維持管理者の責任を明確化し戦略を立てて早期に点検と診断を組み合わせて行うことが安全・安心の社会につながると話した。
7日午後は、補修の考え方や補修材料の基礎知識について、2日目の8日は、補修・補強に関する技術や調査方法などについての講演が行われた。
同フォーラムの九州地区での開催は、8月22日に佐賀市のアバンセで予定されている。