コンクリートメンテナンス協会の徳納剛会長(福徳技研)と峯松昇司副会長(井上建設)は3日、コンクリート工学会のメンバーや芝浦工業大学の学生らとともに長崎市にある軍艦島(端島)を訪れ、塩害環境下における補修材の効果確認実験に立ち会った。
軍艦島での実験は、コンクリート工学会が2016年から実施している「危急存亡状態のコンクリート構造物対応委員会」の趣旨に賛同して行っているもの。
鉄筋を埋設したコンクリート試験体を著しい塩害環境下に置き、補修材や補修工法がどの程度の効果を発揮するかを毎年経過観察している。
このほか、コンクリートメンテナンス協会が現在開発中の新材料である亜硝酸リチウム含有塗料の実験も開始した。0~3回まで塗布回数を変えた試験板を同島の環境に曝露し、今後、試験体と合わせて観察を行っていくという。
徳納会長は、「試験体の正式な測定結果は後日出るが、当会が設置した亜硝酸リチウム圧入の試験体は他と比較して鉄筋の腐食がほとんどなかった。優れた防錆効果が確認されたと思う」と満足気。「軍艦島の崩壊は年々進んでおり、コンクリートが永遠の構造物ではないと思い知らされる。維持管理の重要性を再認識した」と話していた。