【防府】山口県コンクリート診断士会(瀬原洋一会長)は24日、支部事務局である宇部市山中のトキワコンサルタントで「8月例会」を開催した。
新型コロナウイルス感染拡大を防止するためオンライン配信により行われ約20人が参加した。
はじめに、瀬原会長が「コロナ禍で医療従事者による予防接種や感染者への治療が行われているが、我々診断士と役割が似ている。社会インフラの予防保全、劣化したコンクリートやメタル構造物などへ対処する点で似ている。コロナウイルスが猛威を振るっているが、会員向けの事業を展開していきたい」とあいさつした。
例会では講師全員がリモートで登壇し、徳山工業高等専門学校土木建築工学科の温品達也准教授が「角島大橋の塩分浸透予測とLCC」と題した基調講演を行い、自身の研究をもとに不飽和状態における塩分飛来モデルの高度化や不飽和状態での塩分浸透実験による修正解析モデルの精度検討、角島大橋を対象とした高度化モデルによる塩分浸透予測とライフサイクルコスト(LCC)評価について解説した。その中で温品准教授は「角島大橋をモデルに下部工の100年間のLCCを見ると、無対策の場合は建設コストは一番安いが75年後に補修費用が一気にかかり、山口県が計画している供用中に定期的に表面被覆を行った場合は階段状に費用がかかる上、76年程度で断面修復が必要になるため補強費用も重なり最終的にLCCは一番大きくなる。一方、初めからコンクリートのかぶり厚を増やす、エポキシ樹脂塗装鉄筋、柱躯体を現場打ちからプレキャスト化した場合は建設費は高くなるが、その後の補強が必要ないため無対策の場合と比べLCCは優れる。最新の考え方を用いれば、トータルコストは安くなることがわかってきているので、新設時に反映できれば」と説いた。
また、福徳技研の徳納剛社長が「プロコンガードシステムS~進展期以降に対応できる表面含侵工法~」と題し、塩害や中性化、アルカリシリカ反応の劣化メカニズム、劣化事例、亜硝酸リチウムを主成分とする表面含浸工法プロコンガードシステムSの工法概要、補修事例などについて、富士フイルムの川尻洋平氏は「社会インフラ画像診断サービス『ひびみっけ』」の中で、医療分野で培ったX線画像データから血管のみを抽出する画像解析技術を応用したコンクリートのひび割れを検出する「ひびみっけ」の活用シーンや検出パターン、使用方法、注意点などについてそれぞれ解説した。